“生命の神秘を造化する感動の作”
絵画と宝飾芸術を両翼に、天才的な感性で作品へと造化し続ける作家・佐伯和子。
「パラダイス」は、大胆な構図と原色によって描かれた迫力の作品であるが、デフォルメされた蝶や花がどこか愛らしく、鑑賞者を楽しませてくれる。画面から放たれる生命の躍動感。歓喜の空間をストレートに伝えることに成功した。
「喜悦（きえつ）」は、大粒の南洋パールの優美なフォルムが印象的で、ケシパール・サファイア・ルビーの輝きが冴え渡る、豪華な宝飾作品。また、薔薇と蝶の装飾の配置も絶妙で、作家の自然の恵みに対する感謝や、古代へのオマージュが現出した、宇宙空間が広がっている。あらためて作家の造形意匠の完璧さに敬服する名作である。

文／クリスティーヌ・モノー